見習いカジノディーラーとしてお客さんがいる場面へ入るために、毎日、毎日、先輩ディーラーの様子を観察しながら、ホールでゲームを眺め、ゲームの進め方や言い回し方を勉強。
ようやく店長から場面への許可をもらい「バカラ」ディーラーデビューを迎えていくことになった。
しょっぱなからカードをシャッフルをさせてはもらえないので、先輩ディーラーが途中までゲームを進めた状態で場面へ入り、実践を味わうこととなっていく。
もちろんこの場面を見守る黒服もいるため、緊張はピークに達しており、ミスをしないことが前提で、適度な早さでゲームを進めていくこと、お客さんとの間合いを取りながら明るく、元気に、大きな声を出して、場面を仕切っていくのだ。
当然、オレにもこのような時期を経験してきたが、デビュー戦から勢いのある場面には入ることがないため、当時からお客さんも場面もナメてかかっていたオレは、「オレはものすごく出来るディーラーなのだ!」という意識の元に場面にいたので、何も問題はなかったが、ものすごい緊張感があったことをよく覚えている。
新米ディーラーがゲームに入るときには、数人の黒服が監視していることもあり、嫌な汗をかいて、カードやチップを操る手が震えてくる。
とにかくゲームに集中をして「バカラ」の条件を間違わずに、バランスを間違わずに必死になる。
この場面の空気というものは、ディーラー自身でつくっていくものなので、生かすも殺すも己の力量にかかっている。
嫌な空気を濁わせてしまうと、その空気はお客さんにも伝わり、イジられたり、突っ込まれたりと、新米ディーラーにとって嫌な方向へ流れてしまうが、しっかりと胸を張っていくことでこちらに流れが向いてくるようになるのだ。
極力、新米ディーラーということをお客さんには悟られずに、チップやカードを捌いていくのだ。
肝心なことはカードをBETオーナーへ渡す際には、そのお客さんの目を真剣に見ながら渡すことを心がけるといい。
目力で相手を威圧できようモンなら、新米ディーラーとして合格点をあげたいところだ。オレとしては、下手にでていくのだが心が、強いヤツの方がディーラーとして向いていると感じている。
BETオーナーというものはプレイヤー側、バンカー側で賭け金が一番多い人なため、場面を支配していく要素が高い。
このようなお客さんにナメられずに抑えていくことが出来れば、ディーラーとしては非常にゲームが進めやすい状況へなっていくのだ。
カジノ界では当然、お客様第一主義な店が殆どだが、それはあくまでも店側の黒服や主要人物の仕事であり、「ディーラーは強気でナンボ!」という意識がある。
新米であってもこういった姿勢を持ちながら、柔軟に対応できるようになって欲しいと願っている。
海外のカジノディーラーと日本のカジノディーラーの意識は全く別物なので、日本裏カジノ界にいるならば、コレくらいやっても良いのではないだろうか。。。