大使館裏カジノへ勤め始めて3ヶ月近く経った、蒸し暑い夏の始まりを迎えた頃、海外移住を目指していたオレの、我が家の売却が思うようには進まなかった。
暑くなってくると客足が減ってくると不動産屋さんは言い、オレの家を見に来る人も殆どいなくなっていた。家の売却が出来なければ、まとまった現金が入らないため、海外への移住が難しくなってくる。
そんな最中、大使館裏カジノでも客足が遠のいてきて閉店の話が持ち上がってきてる。店が開かなければオレの収入も確保できず、また違う裏カジノ店舗へ出稼ぎに行かなくてはならない。
結局、大使館裏カジノは一時解散ということが決定した。
運良くなのか、タイミングが良くて新たに新規でオープンさせる裏カジノ店舗の話がオレの元へ届いていた。
給与体系は大して良くはないのだが、収入が途切れることよりも、日銭が入ってくるためこの店舗の話を受けることにした。
今度の店舗はローカルな場所でオレの住む横浜から真西方向へ向かい、電車での通勤が少し面倒なところになる。いつかのパクられた裏カジノ店舗で一緒に働いていた仲間からのお誘いがあり、面白いオーナーを見つけたから一緒にいこうとうことだった。
小じんまりとしている店舗にルーレットを置いて、バカラテーブルが2台ほどの、金銭的にも規模が小さく、お金もかかっていないインスタント裏カジノとなる。
この店舗は内装を簡単に済ませて早くお客さんを呼び込み、大きな収益を期待している、オーナーからせかされてすぐに始まった。
とは言っても、知り合いのお客さんを呼ぶだけなので、大した売上も期待できない。この裏カジノ店舗はもって1ヶ月ほどだろうかと思いながらも、日銭を稼ぐことを優先していたので、大した力を入れていた訳ではない。
仕事自体はまじめにやっていくのだが、来てくれるお客さんの内容によって、裏カジノ店舗の売上は変わってくるし、良い客がいなければ、すぐに潰れてしまうのがこの世界の常識とも言える。
多額を落としてくれる顧客がいないが、とりあえず急ぎながら、細々とこの店舗のオープンを迎えたのだ。。。