裏カジノ界で「ポンコツ」をかけて、コレがバレる様なことになると大問題となるのだ。
ディーラー個人が悪さをして店側にバレたときには、今までに抜いた金額にもよるのだが、後ろに控えているヤクザ組織から体中に痛い質問をされ、洗いざらいを喋らせられることは避けられないだろう。
そして、その後に賠償金としての大きな金額の請求をされたり、二度とディーラーが出来ないように指先をおられたりして、この世界から去っていくしか道はない。
オーナー側が優しいところであれば、小額の支払いと詫びを入れる事で許されることもまれにはあるが、裏社会に通じている裏カジノなのでコレは数少ない事かもしれない。
ポンコツデビュー店で数回のポンコツだけで、いきなり店内の黒服からツッコまれた「お前、何かしていただろ!」は、オレを凍らせるほどの勢いで、どう言い訳をすれば良いのかが分からなくなっていた。
だが、、、、
オレはこのポンコツ事実を認める訳にはいかないので、「すみません。あのお客さんに相性が悪くて、また、ヤられてしまいました。」。
これで黒服の出方をうかがってみると、「お前!悪いヤツだな!」と言ってくる。黒服の表情が強ばっていないので確信ではないのだと感じたオレは「次は勝ってきます!」と言いながらこの場から逃げていった。
休憩所に戻り、タバコを吹かしながらもオレの心臓はバクバクと収まりがきかないが、誰にもバレる訳にはいかないので、苦いコーヒーをグッと飲み干して必死に落ち着きを取り戻そうとしていた。
しばらくしてからまた例の黒服が近寄ってきて、「話したい事があるので店が終わったら待っててくれ!」と言い残す。
「マジかぁ!」。。。
「まだ終わってないのかぁ!」。。。
オレにとってはイヤな話になるので、この日の仕事が終わることが辛くて、早く逃げだしたい気持ちでいっぱいだが、とうとう閉店を迎えあの「黒服」が待っている場所へ足取りが重いが向かわなければならなくなったのだ。。。